大会長挨拶

第20回大会長

渡辺宏久 WATANABE hirohisa

藤田医科大学医学部脳神経内科学 主任教授

この度、第20回神経摂食嚥下・栄養学会学術集会を2024年8月24日に藤田医科大学豊明校地で開催することとなりました。

今回のテーマは「みんなで学ぶ神経疾患の摂食・嚥下・栄養の最前線と未来」としました。本学会は、脳神経内科、耳鼻咽喉科、歯科口腔外科、リハビリテーション科、消化器内科、呼吸器内科などの多領域の医師、及びリハビリテーション専門職、看護師、管理栄養士、歯科衛生士、言語聴覚士、臨床心理士などの医療職が集います。ぜひ、「みんな」にご参加いただきたいと思います。

COVID-19パンデミックの数年を経て、また最近の生成系AIの実装化などにより、Webで豊富な知識を得たり、交流をすることが可能になりました。Webの発達は素晴らしいことですが、一方でリアルの大切さを再認識していただきたいとの思いも込めて、「学ぶ」という言葉を採用しました。「学ぶ」という言葉にはWebなどで知識や情報を得る以上に、それらを使って能力や理解を拡大する過程も含まれているためです。リアルの学びと多職種の交流から、「目からウロコが落ちる」、「これまでの見方がガラッと変わる」といった「行動が変わる瞬間」を実感していただくことにつながれば、主催者としてこれ以上の喜びはありません。

神経疾患は、脳、脊髄、末梢神経、神経筋接合部、筋などが影響を受けることにより、命の源である”食”において重要な摂食や嚥下の機能に障害を引き起こし、栄養に影響を及ぼします。このため、神経疾患を持つ人々に対して適切な摂食、嚥下、栄養管理を提供することは、生命予後の改善、合併症の予防、病状の悪化の遅延、そして生活の質の向上に大きく寄与すると期待されます。本会では、その領域の「最前線」の臨床現場で奮闘している皆様から、アハ体験につながるような講演をお願いしています。また、摂食・嚥下・栄養研究を通じて、神経疾患の「未来」の治療につながるような話題提供もできる場になればとも願っています。わずか1日の学会ですが、得意領域融合型、異分野連携型で、神経疾患患者さんの診療における摂食・嚥下・栄養の管理の意義を問い直すきっかけになれば幸いです。

藤田医科大学豊明校地は、名古屋駅から名鉄電車の急行で前後駅まで約20分、前後駅からバスで大学まで約20分です。学園の周囲には、歴史的に有名な桶狭間古戦場伝説地や沓掛城址なども小さいながら残っています。当学までの行き帰りには、名古屋駅や金山駅で途中下車して、様々な名古屋飯や愛知県のお酒などを楽しんで、日頃の疲れを癒やしていただければと願っています。

皆さんにお会いできることを楽しみにしております。

渡辺宏久