スウェーデンと聞くと「福祉が整った国」「北欧デザイン」などのイメージを持たれる方も多いと思います。
一方で、スウェーデン人の性格や国民性については、なんとなく「シャイ」「静かそう」といったぼんやりした印象を持っている方もいるのではないでしょうか。
実際、私たち家族がスウェーデンで生活する中で、スウェーデン人の気質には日本人と似ている部分もあれば、驚くほど違う部分もあることに気づきました。
この記事では、スウェーデン人の性格的特徴や日本人との共通点・違いをリアルな生活体験を交えてご紹介しながら、シャイな人でもスウェーデンで自然に友達を作る方法を具体的にお伝えしていきます。
「友達できるかな?」「会話ってどうすればいいの?」と不安な方にこそ読んでいただきたい内容です。
スウェーデン人の性格や特徴
まずは、スウェーデン人にどんな性格の傾向があるのかを見ていきましょう。
個人差はもちろんありますが、長く暮らしていると見えてくる「国民的な傾向」や「文化的背景からくる性質」があります。
実はシャイ?初対面の印象と距離感
スウェーデン人は一見クールで無口に見えることがありますが、実はとてもシャイで内向的な人が多いです。
特に初対面では、自分から積極的に話しかけるより、相手の様子を見て距離を取ることが多い印象です。
ただし、一度打ち解けると穏やかでユーモアのある会話を楽しむ人が多く、内に熱いものを持っているタイプが多いと感じます。

初めてスウェーデンの語学学校に通ったとき、誰も話しかけてこなくて「歓迎されていないのかも…」と不安になったのですが、1週間後には「なぜもっと早く話しかけてくれなかったの?」と笑顔で言われたのが印象的でした。
男女平等の意識とライフスタイル
スウェーデンでは性別による役割の固定観念が非常に少ないです。
家事や育児は完全に分担され、「女性だからする・男性だからしない」という感覚がほとんどありません。
また、職場でも上司と部下が対等に話す文化が根付いており、年齢や性別に関係なく意見を述べることが求められます。
時間厳守で几帳面な理由は?
スウェーデン人は時間を守ることに非常に厳しいです。
電車の発車時刻も数分単位で正確に管理されていて、会議や約束にもほぼ遅刻してくる人はいません。
この背景には、他人の時間も自分の時間と同じくらい大切にするという価値観があります。
たとえば保育園の送り迎えも時間厳守が基本で、5分遅れると「何かあったの?」と心配されるレベルです。
真面目だけどユーモア好きな一面
外見は真面目そうに見えるスウェーデン人ですが、実はユーモアをとても大切にする文化があります。
ブラックジョークや皮肉交じりの笑いが好まれ、「堅いけど面白い人」が理想とされる傾向も。
ただし、日本のような「いじり」や「自虐ネタ」は好まれないため、他人を不快にさせないタイプのユーモアがポイントです。
個人主義とチームワークの絶妙なバランス
スウェーデン人は個人主義的な価値観を持ちつつも、チームワークをとても大事にするという不思議なバランスがあります。
たとえば、自分の意見や希望ははっきり言う一方で、全体としての合意や協調も大切にします。
このため、職場や学校などでは「言いたいことを言いながら、場を壊さない」という絶妙なやり取りが成立しています。
- 初対面ではシャイだが、慣れるとフレンドリー
- 男女平等と役割のフラットさが浸透している
- 時間に正確で、人の時間も大切にする
- 真面目な中にもウィットに富んだ会話を好む
- 個人の意見を重視しながらも、協調性が高い
日本人とスウェーデン人の共通点と相違点は?
スウェーデンで暮らしていると、「日本人とちょっと似てるかも」と思う瞬間と、「こんなに違うの!?」と驚く瞬間の両方があります。
ここでは、日本人とスウェーデン人の国民性を比較しながら、どこが近くてどこが遠いのかを具体的に見ていきましょう。
無駄を嫌う国民性と効率重視の生活
日本人とスウェーデン人の共通点のひとつが、無駄を嫌い、効率を重んじる姿勢です。
スウェーデンでは「Lagom(ラーゴム)」という“ちょうどよさ”を重視する考え方が浸透しています。
たとえば、買い物も必要な分だけ、食べ物も残さず、合理的かつ環境に配慮した選択をするのが一般的です。



最初にスーパーで大袋の商品を見かけなかったとき、「なんでまとめ買いしないの?」と思いましたが、実は冷蔵庫も小さく、“必要な分だけ”の考え方がベースなんです。
沈黙を恐れないスウェーデン人と日本人の違い
スウェーデン人は沈黙を気まずいと感じにくい人が多いです。
一緒にいても会話が途切れることを気にせず、無理に話題をつくらないという文化があります。
日本人も「空気を読む」文化がありますが、スウェーデンの沈黙は“尊重”の一種として受け取られています。
慣れないうちは「会話続けなきゃ…」と焦ってしまいますが、実はその沈黙の間も快適に過ごしてくれていることが多いです。
礼儀正しさと社会的な距離感
日本人の「礼儀正しさ」は世界的に知られていますが、スウェーデン人もまた丁寧で控えめな印象を持たれることが多いです。
ただし、日本のように「上下関係の意識」や「敬語」の概念はほとんどなく、誰に対しても対等な態度が基本です。
また、プライベートスペースを大事にする傾向があり、知らない人に話しかける文化はあまりありません。
家族や友人との関わり方
日本では家族とのつながりを重視する一方、スウェーデンでは個人の時間と自由を大切にしながらも、深いつながりを持つ文化があります。
たとえば、成人した子どもは一人暮らしをするのが当たり前で、親元を離れて自立することが推奨されます。
ただし、本当に仲の良い友人とは長く深くつながるのがスウェーデン流です。
仕事における責任感と価値観の比較
日本では長時間働くこと=努力という価値観が根強いですが、スウェーデンでは効率よく働いて、しっかり休むことが正しいとされています。
仕事中は集中し、定時には帰るのが普通です。
それでも仕事への責任感がないわけではなく、むしろ「任された仕事はきっちりやる」という意識が強いです。
共通点 | 相違点 |
---|---|
無駄を嫌い、効率を重視 | 沈黙への捉え方(日本:気まずい/スウェーデン:自然) |
礼儀正しい・控えめな印象 | 上下関係より対等な関係を重視 |
仕事に真面目で責任感がある | 長時間労働よりもワークライフバランス重視 |
日本人がスウェーデンで友達を作る際のコツ
「シャイな国民性」といわれるスウェーデンですが、実際に住んでみると、ゆっくり距離を縮めるタイプが多いというのが実感です。
ここでは、現地で日本人が友達を作るときに意識したいポイントや、自然な交流のきっかけとなる方法を具体的にご紹介します。
最初は控えめに、じっくり信頼を築く
スウェーデン人は、いきなり親しくなろうとすると引かれることもあるので、まずは挨拶やちょっとした会話からスタートするのが基本です。
初対面では無理に盛り上げようとせず、落ち着いたトーンで誠実に接することで好印象を持たれやすくなります。
「焦らず、ゆっくり慣れていく」ことを前提にすれば、関係は自然と深まっていきます。



語学学校のクラスメイトも、最初は笑顔だけで終わることが多かったのですが、1ヶ月ほど経った頃から急に話しかけられるようになって驚きました。
シャイな人と会話を楽しむコツ
スウェーデン人は会話の中で相手に質問するよりも、自分の体験をポツポツ話すスタイルが多いです。
日本人がよく使う「どこ出身ですか?」「好きな食べ物は?」といったインタビュー形式の会話は、やや馴れ馴れしく感じられることもあります。
その代わり、自分のことを少しずつ開示することで、会話がキャッチボールのように続いていきます。
Fikaで自然に仲良くなる
スウェーデンといえば欠かせないのがFika(フィーカ)文化。
コーヒーとお菓子を囲んでゆったり話す時間は、友達作りの絶好のチャンスです。
職場や学校で「Fikaしよう」と言われたら、それは親しくなりたいサインだと思って大丈夫です。
こちらから「Fikaしませんか?」と誘ってみるのもおすすめです。
趣味やイベントでつながる
言語に不安があっても、共通の趣味や関心を持つ人とは自然と距離が縮まるものです。
たとえば、以下のような場が出会いのきっかけになります。
- 市民講座(料理教室・陶芸・絵画など)
- スポーツクラブ(ランニング、ヨガなど)
- 子どもを通じた親同士のつながり
共通の活動があると、会話も生まれやすくなります。
語学力よりもオープンな心が大事
「スウェーデン語が話せないから…」と不安に思う方もいるかもしれませんが、英語が通じる環境なので心配しすぎる必要はありません。
大切なのは、間違いを恐れずに話す姿勢と、相手に興味を持って接することです。
語学力が完璧でなくても、「あなたと話したい」という気持ちはしっかり伝わります。
- まずは笑顔とあいさつから始めて、焦らない
- 「質問攻め」よりも、自分の話を少しずつ共有
- Fika文化を活用して自然に交流する
- イベントや趣味の場に積極的に参加する
- 語学よりも、オープンな姿勢と共感力がカギ
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日本人がスウェーデン人とうまく付き合うヒント
日常生活や職場、地域のつながりの中で、スウェーデン人とうまく関係を築いていくには、いくつかの“コツ”があります。
ここでは、文化的背景をふまえたコミュニケーションの取り方や、相手との信頼関係を築くために心がけたいポイントを具体的に紹介します。
個人の価値観を尊重する姿勢がカギ
スウェーデン人との人間関係で最も重要なのが、相手の「個」を尊重する姿勢です。
「こうあるべき」「普通は〜するもの」といった枠にはめようとする発言は、無意識のうちに反発を招くことがあります。
たとえば、休日の過ごし方や育児方針なども、それぞれの家庭ごとに違って当たり前という感覚があります。



ある日、子どもが外で靴を脱いで遊んでいたとき、日本だったら「危ない!」と注意する場面ですが、現地のママたちは「気にしないよ、本人が気づくだろうし」と笑っていて驚いたのを覚えています。
自然体なコミュニケーションが好かれる
スウェーデン人は、飾らない率直なやりとりを好みます。
敬語のような丁寧すぎる言い回しや、遠回しな表現は、本音が伝わりにくいと感じさせてしまうことも。
たとえば「よければお願いしたいのですが…」よりも、「これをお願いしてもいい?」とシンプルかつ穏やかな言葉で伝えるほうが好印象です。
フィードバックは正直に、でも優しく
スウェーデンでは、相手の意見や行動に対してフィードバックを返す文化があります。
ただし、否定的な言葉を避けながら、率直に伝えることが求められます。
たとえば、「これは良くない」と言うのではなく、「私はこうしたほうがやりやすいと感じたよ」と、自分の視点で伝える言い方が一般的です。
サステナブルな話題で共感を
スウェーデン人は、環境や持続可能性に関心の高い人が多いです。
エコバッグを使う、ゴミを分別する、公共交通機関を使うなど、日常の中で自然に取り入れられるエコ意識があると共感されやすくなります。
雑談の中でも、「これはリサイクル素材なんだよ」といった話題は、好印象を持たれるきっかけになります。
少人数で深い関係を築く
スウェーデン人は、浅く広くよりも、狭く深くつながることを大切にします。
グループでワイワイ盛り上がるより、1対1や少人数での会話のほうが心地よいという人が多いです。
だからこそ、一度信頼関係が築ければ、長く誠実に付き合えるという面もあります。
- 相手の価値観を尊重し、「正解」は一つでないと考える
- 率直で自然体な言葉づかいを意識する
- フィードバックは「私はこう思う」の形で伝える
- サステナブルな話題に共感を示す
- 少人数での深いつながりを大切にする